水平野(すいへいや)

思ったこと考えたことを書いていく

利子がマイナスの変な銀行

以前の記事で、銀行の利子がマイナスの代わりに、サービスが充実するならいいのではないか、と書いた。

inmthrnb.hatenablog.com

また、外注でこの考えに沿った意見を募って、書いてもらった。

inmthrnb.hatenablog.com

この預金の利子がマイナスの変な銀行、題して変銀行についてもう少し考えを掘り下げていきたい。

利子がマイナス!?

変銀行の特徴

まずその変銀行が次のような特徴を持っているとしよう。

  • 預金の利子は年率-0.1%
  • 送金手数料は無料など、普通銀行と比べてサービス充実
  • 銀行の利益があれば預金者に一律の配分

この場合、預金が1億円なら年-10万円の利息となり、10万円なら年-100円の利息となる。
ここで変銀行の投資などによる利益から、預金者に対して毎月一律の配布があるとすると、それが毎月100円なら年1200円となる。
つまり、1億円の預金者なら差し引き約9万9千円の損益、10万円の預金者なら差し引き1100円の利益となる。
このように資産を持たない人は利益を得る可能性と金額が大きくなる。
そして、銀行からすれば利益の一部を預金者に配分しても、配分された分は預金という形で残るのでそのまま運転資金になる。

ただし、単純に口座を持つ人に一律配分するだけなら、他の普通銀行に資金の大部分を預けてこの変銀行には預けず、配分だけ取ろうとするだろう。
なので、配分を受けるための、何らかの条件を設定する必要がある。
考えられる条件としては、
・変銀行以外の銀行の口座を持っていない
・変銀行に一定の定期預金、例えば10万円がある
・資産の大部分が変銀行にある確証がある
のいずれか、といったことになるだろうか。

この考え方は、共産主義やベーシックインカムの発想を取り入れている。
資本主義の代表である銀行が共産主義的な運用を行う…我ながら面白いアイデアだと思う。

資産比例のサービス

しかし、この仕組みには欠陥がある。
普通に考えれば、かなりの資産を持つ人は、他の普通銀行に資本を移すことになるだろう。
そうすると、変銀行に残るのは、資産をあまり持たない人ばかりになるはずで、そうすると、変銀行の運用のための資金があまりないことが予想され、そうすると、配分も少なくなる…という悪循環の結果になると思われる。
変銀行を国営の銀行とするなら、初期の運転資金を、例えば1兆円ほど用意することで、うまく回る可能性もなくはない。
が、確証のあるものではない。

この欠陥を補い預金者を増やすためには、預金額に比例したサービスを提供できるかどうかにかかっている。
Googleサーベイで以下のような世論調査をしたことがあって、まずはその結果を見てほしい。

銀行の利子とサービスに関する質問です。
あなたのメイン銀行が利子を年-0.01%にし、
その代わり手数料無料化など、サービスを充実させることを検討した場合、
あなたはどう考えますか。
なお、-0.01%は1億円の預金に対して年-1万円の利息です。

https://surveys.google.com/reporting/survey?hl=ja&survey=sprao5ougopd7rkgr3ohvpi3k4

 

銀行の利子とサービスに関する質問です。
あなたのメイン銀行が経営健全化のため利子を年-0.1%にし、
その代わり手数料無料化など、サービスを充実させることを検討した場合、
あなたはどう考えますか。
なお、-0.1%は1億円の預金に対して-10万円の利息です。

https://surveys.google.com/reporting/survey?hl=ja&survey=gvxzh5jhts6dhtasws4kiq7jqi

結果は、特に何も思わないという人が、意外といるということだ。
このことは、サービスの充実さえできればマイナスの利子を気にしない人は、十分にいることを示している。
できれば、資産によって、どう結果が変わるのかまで知りたかったが、変銀行を成立させる条件は、やり方次第で十分整うことの根拠にできると思う。

まとめ

変銀行はやはり変な銀行で、結局のところどうなるのか、うまくいくのか、私にはよく分からない。
一つだけ言えるのは、キーとなるのは預金額に応じたサービスを預金者に提供できるか、ということだ。